子供のかかとの痛み|シーバー病・踵骨骨端症とは?
走ると、踵が痛い。
それは「シーバー病」かもしれません。
子どもがスポーツ中や運動後に「かかとが痛い」と訴える場合、
原因のひとつにシーバー病があります。
シーバー病は、正式には踵骨骨端症と呼ばれます。
踵骨とは、かかとの骨のことです。
成長期の子どもは、
骨がまだ完成していないため、
かかとの骨にも「成長軟骨」
と呼ばれる柔らかい部分が残っています。
そこに、走る・跳ぶ・踏み込むといった
動作が繰り返されることで、
かかとに痛みが出ることがあります。
米国整形外科学会では、
シーバー病を
「成長期の子どもに多いかかとの痛みの原因の1つ」
と説明しています。
特に、運動量の多い子どもに
起こりやすいとされています。
シーバー病とは?
シーバー病は、
成長期の子どものかかとに起こるスポーツ障害です。
医学的には、踵骨骨端症と呼ばれます。
かかとの骨である踵骨の後方には、
アキレス腱が付着しています。
成長期はこの付着部周辺の骨がまだ未成熟で、
繰り返しの引っ張られる力や、
着地の衝撃に弱い時期です。
米国の公的な医学情報データベースでは、
シーバー病は8〜15歳の子どもや
若いアスリートに多いかかとの痛みで、
アキレス腱がかかとの骨に付着する部分への
繰り返しの負担が関係すると説明されています。
つまり、シーバー病は単なる
「成長期だから仕方ない痛み」ではありません。
成長途中のかかとに、
スポーツ動作による負担が
繰り返しかかって起こる痛み
と考えるとわかりやすいです。
なぜ成長期に起こりやすいのか
子どもの骨には、
成長するための柔らかい部分があります。
これを成長板・骨端線・成長軟骨などと呼びます。
米国整形外科学会が運営する患者さん向け医療情報サイトでは、
子どもの成長板は
骨が完成するまでは腱や靭帯より弱く、
外からの負担を受けやすい
と説明されています。
シーバー病では、
この成長板があるかかとの後方部分に、
アキレス腱の引っ張る力や
着地の衝撃が繰り返しかかります。
特に成長期は、
骨の成長に対して筋肉や
腱の柔軟性が追いつかないことがあります。
ふくらはぎやアキレス腱の硬さが強いと、
かかとの骨を引っ張る力が増え、
痛みにつながりやすくなります。
米国の公的な医学情報データベースでも、
シーバー病は骨の成長が筋肉や
腱の伸びより早い時期に起こりやすく、
ふくらはぎの筋肉の硬さが、
かかとの成長軟骨への刺激に関係する
と説明されています。
起こりやすいスポーツ
シーバー病は、
走る・跳ぶ・切り返す動きが多いスポーツで
起こりやすいとされています。
代表的には、次のようなスポーツです。
サッカー
バスケットボール
陸上
野球
バレーボール
体操
ダンス
アメリカの医学情報データベースでは、
バスケットボール、サッカー、陸上、
クロスカントリー、体操など、
走る・跳ぶ動作を繰り返す競技
との関連が説明されています。
ただし、スポーツをしている子どもだけ
に起こるわけではありません。
米国整形外科学会では、
あまり活動的ではない子どもでも、
靴の影響などによって
シーバー病が起こることがあると説明されています。
痛いけど動ける、から注意が必要
シーバー病は、
初期では完全に歩けなくなるほどの痛み
ではないことも多いです。
そのため、
「少し痛いけど練習はできる」
「休むと痛みが引く」
「試合になると我慢できてしまう」
という状態で続けてしまうことがあります。
しかし、
痛みがあるまま走る
跳ぶ動作を続けると、
かかとへの負担が繰り返され、
症状が長引くことがあります。
特に、
次のような様子がある場合は注意が必要です。
・ 痛みでフォームが崩れる
・かかとをつけない歩き方になる
・練習後に痛みが強くなる
・翌日まで痛みが残る
・以前より走り方がぎこちない
このような場合は、
単なる一時的な痛みとして見過ごさないことが大切です。
シーバー病の確認で見られるポイント
シーバー病では、問診と身体の確認が重要です。
よく確認されるのは、次のような点です。
・いつから痛いのか
・どの動きで痛いのか
・運動中に痛いのか、運動後に痛いのか
・休むと軽くなるのか
・かかとのどこを押すと痛いのか
・かかとを横から挟むと痛いか
・つま先立ちで痛みが出るか
・歩き方が変わっていないか
アメリカの医学情報では、
シーバー病は基本的に症状や身体所見から判断されることが多く、
かかとのアキレス腱付着部周辺の痛みや、
かかとを左右から圧迫したときの痛みが特徴のひとつとして説明されています。
レントゲンや画像検査は必要?
シーバー病は、症状や身体の状態から
判断されることが多いとされています。
米国整形外科学会では、
シーバー病のレントゲン所見は、
症状がない子どもと似て見える場合があり、
レントゲンは骨折など他の原因を除外するために
行われることがあると説明されています。
また、米国の医学情報データベースでは、
典型的なシーバー病であれば
画像検査が必須とは限らない一方で、
症状が典型的でない場合や、強い痛みがある場合、
数週間たっても改善しない場合には、
他の病気やケガを除外するために
画像検査を検討する
と説明されています。

次のような場合は、医療機関での確認が大切です。
・ぶつけた・ひねった後から強く痛い
・腫れや熱感が強い
・かかとをつけて歩けない
・安静にしていても痛い
・夜間痛がある
・発熱を伴う
・片足だけ強い痛みが続く
・数週間たっても改善しない
シーバー病は自然に治る?
シーバー病は、成長が進み、
かかとの骨端部が成熟すると
再発しにくくなるとされています。
米国整形外科学会では、
成長が終わり、
かかとの成長板が成熟した骨になると、
シーバー病は再発しないと説明されています。
ただし、ここで大切なのは、
自然に治る可能性があることと、
痛みを我慢してスポーツを続けてよいことは
別
という点です。
痛みが強いまま練習を続けると、
歩き方や走り方が崩れたり、
痛みが長引いたりする可能性があります。
一般的に行われる対応
シーバー病に対しては、
手術ではなく保存的な対応が中心とされています。

米国整形外科学会では、
休息、靴の変更、ヒールパッド、
かかとを少し高くする靴、
ふくらはぎのストレッチ、
必要に応じた固定などが紹介されています。
米国の公的な医学情報データベースでも、
痛みに応じた活動量の調整、アイシング、
ヒールカップやヒールリフト、重症例での固定、
ふくらはぎのストレッチや脚の筋力強化
が管理方法として挙げられています。
また、2024年に発表された複数研究
をまとめた医学論文では、
シーバー病に対する保存的な対応として、
インソール、運動療法、テーピング、
足部装具などを扱った研究が検討されています。
この論文では、保存的な対応は
シーバー病の症状をやわらげる選択肢になり得る
とまとめられています。
一方で、2013年に発表された複数研究をまとめた
医学論文では、
ヒールレイズや足部装具には
一定の根拠があるものの、
治療法の有効性を判断するためには、
より質の高い研究が必要であるとされています。
つまり、シーバー病では
「これだけやれば必ず治る」
という単純なものではなく、
痛みの程度・スポーツ量・靴・
柔軟性・動き方などを合わせて考える必要がある
と言えます。
練習は完全に休むべき?
シーバー病では、
必ずしも全員が完全休止になるわけではありません。
米国整形外科学会では、
痛みや足を引きずる様子が強くない場合には、
スポーツ参加を継続できる場合もある
と説明されています。
ただし、
治療の基本は痛みや腫れを減らすことであり、
運動量の制限や休息が必要になることもあります。
大切なのは、
痛みを基準に活動量を調整すること
です。
目安としては、次のような場合は注意が必要です。
・運動中に痛みが強くなる
・かかとをかばって走っている
・練習後に痛みが残る
・翌朝も痛い
・歩き方が変わる
このような場合は、練習量を落とす、
ジャンプやダッシュを控える、
痛みが出るメニューを
一時的に避けるなどの判断が必要です。
逆に、痛みが軽く、フォームも崩れず、
運動後に悪化しない場合は、
状態を見ながら活動を
調整していく考え方もあります。
親御さんに知っておいて欲しいこと
シーバー病は、
子ども自身が痛みをうまく説明できないことがあります。
「なんとなく痛い」
「走ると痛い」
「でも試合は出たい」
「休みたくない」
このように話すことも多いです。
だからこそ、
親御さんには次の点を見てほしいです。
・歩き方が変わっていないか
・つま先歩きになっていないか
・練習後に足を引きずっていないか
・朝起きたときに痛がっていないか
・靴のかかとが極端にすり減っていないか
・練習量が急に増えていないか
・成長期で身長が急に伸びていないか
痛みを我慢することが、
必ずしも頑張りではありません。
成長期のスポーツ障害は、早めに気づき、
負担を調整することが大切です。
まとめ
シーバー病は、
成長期の子どもに多いかかとの痛みです。
特に、走る・跳ぶ・踏み込む動作が
多いスポーツをしている子どもでは、
かかとの成長軟骨に繰り返し負担がかかり、
痛みが出ることがあります。
大切なのは、
「成長期だから仕方ない」と片づけないこと。
そして、
痛みを我慢して続けるだけにしないこと。
シーバー病は、
成長とともに落ち着いていくことも
多い一方で、
痛みがある時期の対応を誤ると、
スポーツ動作や
歩き方に影響が出ることもあります。
子どもが「かかとが痛い」と言ったときは、
どの動きで痛いのか、
いつ痛みが強くなるのか、
歩き方が変わっていないかを確認し、
必要に応じて専門家に相談することが大切です。
参考資料
* 米国整形外科学会 患者向け医療情報サイト:Sever’s Disease
* 米国国立医学図書館 医学資料データベース:Sever Disease / Calcaneal Apophysitis
* Journal of Clinical Medicine:シーバー病に対する保存療法のシステマティックレビュー
* Journal of Foot and Ankle Research:踵骨骨端症への介入に関するシステマティックレビュー
コラム執筆・監修者
厚生労働大臣認定 柔道整復師
JTAフラッシュリプロ療法認定インストラクター
KTRテクニック認定インストラクター
経歴
葛飾区内接骨院勤務 5年
大田区内整形外科勤務 4年
2018年2月 かさはら整骨院
かさはら整体院を開業






