整骨院の元来
整骨院、接骨院は本来どういった治療院、施術をするところなのかをお話ししていきます。
腰を痛めた、足を捻った、突き指した、肉離れしたなど、【急性外傷】に対する施術を主としています。時には骨折や脱臼にも対応することもあります。
院長笠原も接骨院研修時代は、ばりばり骨折の整復(補助)を行っておりました。
「公益社団法人 日本柔道整復師会」では整骨院、接骨院の業務は以下のように記しています。
接骨院や整骨院では、柔道整復師によって、骨、関節、筋、腱、靱帯などに加わる外傷性が明らかな原因によって発生する骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの損傷に対し、手術をしない「非観血的療法」によって、整復、固定などを行い、人間のもつ治癒能力を最大限に発揮させる施術を行っています。
要約すると「急性に痛めた怪我は手術しないで施術して改善させます!」ということですね。
これを「保険のきく範囲内」で施術していくのが整骨院、接骨院であり、逆を返せば【急性外傷以外は整骨院接骨院の施術業務外】であるということです。
他にも制約があります
また、保険のはんちゅうで施術しようとなると以下の点でも注意が必要となります。
・重複受診…同じ怪我で医師の同意が無く、医療機関と柔道整復師の療法の治療を受ける
・はしご受診…応急手当てを除いて、同じ怪我で同月以内に2箇所以上で治療を受ける
こちらに当てはまってしまうと、健康保険は取り扱いは出来ません。
また、医師の同意がないと健康保険が使えない場合もあります。
・骨折、不全骨折、脱臼は最初の応急処置の1日を除いて、その後の整骨院で施術を行うとなると医師の同意が必要となります。
なのでマッサージは・・・
おさらいすると整骨院と接骨院にて健康保険を利用しての施術となると
・急性捻挫
・急性打撲
・急性挫傷(肉離れ)
・脱臼(応急処置1回目と医師の同意あり後の通院)
・骨折(応急処置1回目と医師の同意あり後の通院)
となります。
これ以外では整骨院、接骨院での健康保険は適用されません。
なので【慢性】の腰痛、【慢性】肩こり、坐骨神経痛、ヘルニア、脊柱管狭窄症、分離症、すべり症、変形性膝関節症、細かいところでいうと筋肉疲労による硬さ、オスグッド、成長痛などこれらは【自費】扱いとなります。
「肩が凝ったからマッサージで整骨院で安くやってもらおう」
「仕事で疲れたから腰肩全体をもんでもらおうかな」
「部活が大変だったみたいだから息子を整骨院でメンテナンスしてもらおう」
では保険診療は出来ないんです。
マッサージは、マッサージ屋さんでしてもらって下さい!ということです。
(細かなところでいうと、マッサージとなのっていいのはあん摩マッサージ指圧師の国家資格を持った方のみです)
なので整骨院接骨院で自費診療を行わない完全保険診療で患者さんがいっぱいの院は100%急性の捻挫、肉離れ、打撲、骨折、脱臼の患者さんであふれているわけですね!
不正請求
昨今の日本の医療費は全部でいくらかかっているかご存じですか?令和元年、厚生労働省調べで44兆円です。そのうち整骨院接骨院(はりきゅう、装具費、あん摩マッサージ含む)で療養費賭してかかっている額は5124億で、これは医療費全体の約1.2%です。整骨院だけだと3213億円です。
額が額なので多く感じると思いますが、最もピークの時で2011年は4068億円もの療養費を請求しておりました。この8年で実に2割減となっているんですね。この背景には「医療費の圧迫」があります。削減をするんであれば整骨院、接骨院などの療養費から削減しようと国から白羽の矢が立ったわけです。
本来の目的「急性外傷で保険適用の施術を整骨院で受ける」は、是非ご利用頂ければと思います。ですが、上記のような「肩こり」「疲労回復」「マッサージ」「定期的なメンテナンス」などの利用目的で行かれる方は少なくなく、むしろ
「整骨院、接骨院て、安くやってくれる、そういうところでしょう?」
と言われる始末です。
こういう目的の方を不正請求で療養費をだまし取る悪質な例が横行しました。
治ったけど長く安く通ってもらうために怪我をしている部位を変える、「部位転がし」という手法も合ったりします。
結果、整骨院、接骨院は保険請求が4部位できたものが3部位に。
満額請求できたものが50%報酬がカットされる。
など医療費(療養費)の削減の真っ先のてこ入れ先となりました。
悪いことをすれば罰が当たるとはこのことです。ただ、一部の悪徳商法をされている方のせいで、全うに施術をしていた整骨院にも迷惑をかけることになってしまいました。
国の方針も整骨院、接骨院では無く、「改善したいならお医者さんに行ってね」と言っているわけです。
素晴らしい技術もこの行いのもと、廃れていってしまいます。
利用される皆さまも、その片棒を担がないように、今一度考えてみて下さいね。
当院が保険を取り扱わないのは
上記の理由から保険を使った施術は【急性外傷】だけになってしまうのが今現状の国のルールです。施術できる範囲がとても限られてしまうのですね。
かさはら整骨院は自費の施術だからこそ、アプローチできることや、お一人お一人の体に向き合って最善の対応が出来ると考えております。
コラム執筆・監修者
厚生労働大臣認定 柔道整復師
JTAフラッシュリプロ療法認定インストラクター
KTRテクニック認定インストラクター
経歴
葛飾区内接骨院勤務 5年
大田区内整形外科勤務 4年
2018年2月 かさはら整骨院
かさはら整体院を開業